026年4月1日の「青切符制度(改正道路交通法)」施行まで、残りわずかとなりました。 企業の管理担当者様や、自転車通勤をされている従業員の方から、今もっとも多く寄せられる質問があります。
「業務中や通勤中に青切符(反則金)を切られた場合、その支払いは誰がするのか?」
「仕事中なんだから会社が出すべきだ」 「いや、運転していた個人の責任だ」
この認識がズレたまま4月を迎えると、社内トラブルの原因となるだけでなく、企業が予期せぬ法的責任を負う可能性があります。 本記事では、この「お金の線引き」について、法的な原則と、会社が責任を負うべき「例外ケース」について解説します。
1. 原則は「運転者本人」の負担です
結論から申し上げますと、交通反則金は「運転していた本人(従業員)」が支払うのが原則です。
理由は以下の2点です。
- 行政上の責任: 青切符(反則金)は、道路交通法に違反した「行為者」に対する行政上の制裁です。たとえ業務中であっても、ハンドルを握り、違反をしたのは個人であるため、その責任は個人に帰属します。
- 税務上のリスク: もし会社が従業員の反則金を肩代わりした場合、それは業務上の必要経費(損金)としては認められにくいのが通例です。むしろ、その従業員に対する「給与(賞与)」とみなされ、課税対象となるリスクがあります。
したがって、多くの企業の就業規則では、「交通違反の反則金は、行為者の自己負担とする」と定められています。
2. 会社が支払わなければならない「3つの例外」
しかし、経営者様はここで安心してはいけません。 以下のケースに当てはまる場合、会社にも責任(使用者責任や運行供用者責任)が生じ、会社が支払いを負担せざるを得ない可能性があります。
① 無理な業務命令があった場合
「絶対に〇時までに届けろ」「信号を守っていたら間に合わないぞ」など、会社側が法令違反を助長するような指示を出していた場合です。 この場合、違反の原因を作ったのは会社であるとみなされます。
② 車両の整備不良が原因の場合
「ブレーキが効かない自転車を貸与された」「ライトが壊れていた」など、会社の管理する車両の不備によって違反や事故が起きた場合、その責任は管理責任者である会社にあります。
③ 過労運転の強要
長時間労働などで正常な運転ができない状態であることを知りながら運転を命じた場合も、会社の責任が問われます。
3. 「通勤中」のリスクと「規定」の重要性
さらに注意が必要なのが「通勤中」です。 通勤は業務時間外ですが、会社が「自転車通勤を許可」し、通勤手当などを支給して利益を得ている以上、会社は無関係ではありません。
もし従業員が通勤中に事故を起こし、多額の賠償責任を負った場合、民法715条の**「使用者責任」**により、会社も連帯して賠償を求められるケースが増えています。
この時、会社を守る唯一の盾となるのが「就業規則(自転車通勤規定)」です。
- 「違反時の費用負担」が明記されているか?
- 「会社が求償(社員に請求)できる」という条文があるか?
- 「安全教育を行った」という証拠(エビデンス)があるか?
これらが曖昧なままだと、会社は「管理監督が不十分だった」として、全額負担を余儀なくされるリスクがあります。
まとめ:曖昧なまま4月を迎えないために
「誰が払うか」で揉めるのは、事故や違反が起きた「後」です。 平和な今のうちに、規定を見直し、全従業員に周知しておくことが、会社と社員の双方を守ることにつながります。
あなたの会社の規定は、今の法律に対応できていますか? まずは現状のリスクを確認することから始めてください。
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