はじめに
前回から、BFLは「観光」をテーマにしたシリーズを書いている。
前回、サイクルツーリズムが続かない理由を三つ挙げた。
地元の理解が得られていないこと。
走って通り過ぎるだけで、地元にお金が落ちにくいこと。
自転車を降りて楽しめる場所がないこと。
今回は、二つ目から考えてみたい。
なぜ、通り過ぎてしまうのか
自分の自転車で訪れる「愛好家」にとって、走ることそのものが目的になりやすい。
距離、坂、景色の中を走る爽快さ。
荷物は最小限で、帰りの時間も決まっている。
地域の側から見れば、最低限の案内だけで走り抜けていく人たちだ。
走る気持ちよさで満たされ、地元の魅力を味わう前に旅が終わる。
地元の観光資源にはほとんど触れないまま、家に帰っていく。
その人たちが地域を通り過ぎていくのは、愛好家が悪いわけではない。
止まる理由が、まだ用意されていないだけだ。
日常の「止まる判断」、旅先の「止まりたくなる理由」
LMEのシリーズでは、止まる判断が命を守ると書いてきた。
旅先では、止まることが楽しさの入口になる。
ただし、止まりたいと思ったときに、止まれるかどうかは地域しだいだ。
止まりたくなる、三つの「できる」
自転車で訪れる人を迎えるには、自転車ならではの準備が欠かせない。
・止められる
自転車を安心して置ける場所がある。スポーツ自転車にはスタンドのないものも多く、高価なものもある。置き場が見えなければ、気になる店の前でも素通りしてしまう。
・預けられる
荷物や自転車を預けて、歩いて街を楽しめる。自転車を降りた瞬間から、旅人は街の客になる。
・降りる理由がある
その土地の食事、温泉、地元の人との会話。わざわざ止まる価値があると、ひと目でわかること。
いかがだろうか。
この三つを満たしている地域には、まだ多くの可能性がある。
ただし、これらを補助金だけで何年も続けていくことはできない。
地元の理解と連携が、一つの鍵になる。
呼びたい人を、少し広げてみる
愛好家だけでなく、手ぶらで来る人にも目を向けてみたい。
電動アシスト自転車を借りられれば、ふだん自転車に乗らない人も、旅先で走ることができる。
そうした人は、もともと街で食べ、買い、泊まるつもりで来ている。
せっかく訪れたのだから、通り過ぎるのは「もったいない」と感じる人たちだ。
つまり、リピーターの候補でもある。
走ることが目的の人と、街を楽しむことが目的の人。
どちらも大切なお客さまだが、地元にお金が落ちる仕組みは、少し違う
おわりに
走った距離ではなく、止まった回数で地域を見てみる。
どこで止まり、何をして、また走り出したか。
その一つひとつが、地域に落ちるお金になり、また来たくなる理由になる。
次回は、一つ目の理由「地元の理解」について考えたい。
