はじめに
「あなたの店舗のライバルはどこですか?」 自転車販売店の店主にそう問いかけると、多くの人が異口同音に「近所のあそこの自転車屋さん」と具体的な同業者を名指しされます。もちろん、それも間違いではありませんが、現代のリテール市場においてはあまりにも視野が狭いと言わざるを得ません。 例えばコンビニを思い浮かべてみてください。競合他社だけでなく、首都圏などでは同じブランドの店舗が街中に点在し、食い合っています。商品構成が全く同じだからです。しかし、自転車販売店の場合は、競合の定義をもっと広く、深く再設定しておかなければ、適切な生存戦略を立てることも、実行することもできません。
1. 自転車屋は自転車屋に負けない:ライバルの再設定
「自転車を販売している店舗」だけをライバルと見なしていると、市場で起きている本当の脅威(地殻変動)を見落とすことになります。現代の自転車利用者は、必ずしも「購入」だけを求めていません。全国に網の目のように広がった「シェアサイクル」も立派な競合ですし、総合ディスカウントストアや家電量販店、さらにはECサイトなど、多種多様な業種が自転車販売のシェアを奪っています。
「それは都会の話でしょ」と地方の個人店がタカをくくっている現状こそが、かつて街から姿を消していった個人経営の雑貨屋さんや電器屋さんの衰退の歴史を、自分たちの将来として捉えられていないのんきな発想の現れです。まずは「顧客の移動手段の選択肢すべて」をライバルとして再定義することから始まります。
2. 巨大なポイント経済圏に対抗する:ライバルの強みの本質を見極める
ライバルの再設定ができたら、次に彼らが持つ「圧倒的な強み」を客観的に想定し、書き出す作業を行います。 相手が同じ自転車屋さんであれば、商品構成やピットの技術、サービス内容の比較で済むため、明確な違いを作りやすく、戦略も立てやすいでしょう。しかし、他業種が相手となると話は別です。彼らの最大の強みは、例えば「他業種と共通のポイントが貯まる・使える」といった、個人の自転車店では絶対に対抗できない巨大な経済圏の仕組みを持っています。自転車に詳しくない膨大な数の消費者が、ポイントや利便性を理由に、専門店ではない店舗で自転車を購入していく現実がここにあります。
また、中古販売大手の資金力や、シェアサイクルの「所有しなくていい手軽さ」など、自店にはない強みをまずは直視しなければなりません。
3. レーダーチャートで弱点(ウイークポイント)を突き、ストロングポイントを研ぎ澄ます
ライバルの強みを知れば知るほど、資金力や規模感で「かなわない」という恐怖心が先に立ってしまうかもしれません。しかし、リテールビジネスにおいて、体力や体格に勝る巨大選手が常に勝つわけではありません。そこに必要なのが、客観的なデータに基づいた「対策・戦略・実行」の3ステップです。
どんなに巨大な他業種店舗やシステムにも、専門店から見れば必ず「致命的な弱点(ウイークポイント)」が存在します。「購入後の細かいフィッティングができない」「スポーツバイクのディープな相談に乗れない」「修理の待ち時間が長い」「アフターフォローが標準化されすぎていて冷たい」など、彼らが規模を優先するがゆえにこぼれ落ちる顧客の不満。そこをレーダーチャートとして可視化し、自店の「勝てる強み(ストロングポイント)」と比較する。自店が圧倒的に勝っている突出したポイント(関わりしろや安心感)を見つけ出し、それをWEBや接客で徹底的に消費者にアピールしていくのです。
総括:アバウトなイメージ戦略を捨て、小さな店こそロジカルに勝つ
これまでの自転車業界における競争店調査は、大手チェーン店を中心に実施されてきた「なんとなくのイメージ戦略」やアバウトな数値目標ばかりでした。しかし、小さな街の自転車店ほど、自店が置かれているリアルな立ち位置や、ライバルの真のウイークポイントを直視し、事実を受け入れることから始めなければなりません。
CUEGOが提言するレーダーチャート分析(Rival編)は、店舗ののんきな発想を捨て、戦うべき相手を正しく見定め、自店の尖った強みを100%活かして地域で独占的なポジションを築くための、超実践的なリテールコンサルティングのアプローチです

