はじめに

自転車業界におけるブランドはまさに市場の競争が激化しています。
以前は完成車ブランドが「パーツブランド」を持つことはあまりありませんでした。
しかし、現代におけるブランドの優位性は混とんとしています。
有名ブランドでもあっけなく没落するような「下克上」も珍しくありません。
私たちは戦略コンサルタントとして自転車ブランドが成功するための「戦略策定」に焦点を当てています。
独自の「戦略プラン」からブランドの独自性をどのように打ち出しかつ市場での確固たる地位を確立するかを探求します

現状分析

まずはブランドの立ち位置でもある「現状分析」をおこないます。
市場は常に変化しています。それも想像をはるかに超えるほどの速度と細分化は留まることを知りません。
昨日(過去)の市況から他ブランドとの比較をおこない「ブランド優位性」を議論してもすでに答えが出ています。
優位性は常に変動するからです。
過去から学ぶには明日、つまり将来を見据えて戦略を立てます。
まずは分析からブランド戦略の枝葉を作ります

市場分析:自転車業界の現状とトレンド

市場分析では現在の自転車業界の動向と消費者の傾向を調査します。
ここ数年コロナ禍前後でも大きな変化があります。
それはずばり「消費者思考」です。
自転車を購入したい時に何を基準とするかです。
調査をする際に多くの消費者が何を思うだけでは真の「購買動機」がわかりません。

  • 電動アシスト自転車(e-Bike)を欲しいのか
  • 自転車に移動以外の付加価値(健康等)を求めているのか
  • 購入(どこで購入したいのか)するのかシェアサイクル(サブスク含めて)か

もちろん、上記は全ての要素ではありません。
それでもブランドにおけるラインナップ(カテゴリーを含む)が誰に対しての提案なのかはとても大事です。
値ごろ感(価格訴求力)」が求められていた時代もありました。
しかしそれは過去のブランディングです。
戦略を立てるならどんな「消費者(ペルソナ)」に提案するかを明確にしておく必要があります

競合分析:他ブランドの戦略とポジショニング

以前ならばブランドの優位性は有名ブランド数社に絞られていました。
特にヨーロッパとアメリカ。完成車において日本ブランドの優位性は一部のカテゴリーにおいてのみです。
これまでブランドにはその優位性にあきらかな「ランク」が存在していました。
無名ブランドはAランクの「コピー商品」を作るかとっても小さな「カテゴリーを独占」することでブランドを維持してきました。
しかし現代はAランクブランドにもそういう優位性はありません。

  • 競合ブランドの戦略を分析する
  • 自社ブランドとの差別化に必要な要素とは
  • 中長期での競合ブランドを想定する

国内だけでも自転車完成車ブランドは200社を優に超えます。
今までなら「ブランドランク」を調べて比較出来る競合ブランドとの差別化を計ればブランドも成立していました。しかしながら現状は競合はランクではなくひょっとしたら自転車業界外から「参入するブランドかもしれません。
まずは自転車業界内ブランドで調査と分析をおこないましょう

ブランドアイデンティティの構築

分析すると同時にブランドの核となる「価値観、ミッション、ビジョン」を明確に定義します。
これには、ターゲット顧客の特定が不可欠です。
私たちでは特にこの分野を最も大事な項目と捉えています。
まさに「顧客特性(ペルソナ)」こそがブランドの優位性を築ける要素の一番になります。
ではどんな顧客を想定すればいいのでしょうか。

  • 年齢、家族構成、収入
  • 居住地、地域特性
  • 趣味、ライフスタイル

実際のコンサルティングではこの上記の仕分け程度ではとても明確なブランディングの構築は無理です。
以前なら
都内在住、子供二人、自家用車あり
くらいでペルソナを想定していました。
現代ではそのペルソナはかなりおおざっぱな分け方です。
残念ながらブランドの優位性を築くための「ブランディング」には使えません。
例えば・・・
都内なら23区の選別、お子さんがどの学校に通っているか。
これで周辺の環境や年収の目安もつきやすいです。
もちろん「趣味やライフスタイル」の傾向がとても重要です。
趣味も自転車だけと言う方は実はほとんどいません。
多趣味かつ傾向があります。
ライフスタイルとはアパレルや自家用車の種類まで多岐にわたります。
ブランドアイデンティティを作る時に対象ペルソナに対してどういうコトを訴求するのか。
少し時間も必要ですが他ブランドに対して優位性を構築するには不可欠な行程です。
私たちではここはしっかりと詳細を特定します。

マーケティング戦略:ブランド認知度の向上

以前であれば自転車専門誌や専門ウエブサイトがその認知を高める役目を担っていました。
なぜならそれらのメディアを通じて情報を積極的に取得する行為こそがブランドとの唯一の「接点」だったからです。
現代ではその割合は限りなく小さなものになっています。
投資の多くはすでにデジタルマーケティングやソーシャルメディアの活用に注力することが求められます。
その中でとても大事なことがあります。

  • ウエブサイト上での多彩な顧客体験
  • SNSで発信する情報の更新頻度
  • 特別なイベントを通じた双方向なやり取り

ウエブサイトはバーチャルでありながらブランドを体験することやそのブランドを認知するための入り口です。
SNS出大事なのは更新頻度。
鮮度の悪い情報はタイムラインと呼ばれて積極的に取得する現代において離脱する最初の理由になります。
時間軸で「流れている情報」からブランドを知ることが多くなっている現代は更に戦略をしっかりと立てる必要があります。
さらに見逃せないのは「地域イベント」や「パートナーシップ」によるブランド認知度の向上戦略を立案します。
パートナーシップとはまさに他業種との協力関係です。
これには双方のウインウインな関係を気づければそれは両社にとって大きなチャンスになります。

その他の戦略に必要な項目

上記の項目は全て必須項目です。
しかし、細部を組立てていく際に必要な項目があります。
コンサルタントでヒアリングする際の項目をいくつか羅列しました。

製品戦略:差別化とイノベーション

製品開発には独自性とイノーべーションがもっとも重視されます。
以前、某社がブランドのスローガンとして挙げていました。
ブランドは革新(Innovation)か死(Die)だ。
つまり差別化には他ブランドを引き離すべく革新的な製品を作らなくてはいけない。
今日、差別化は容易ではありません。
自転車ブランドの場合、メインコンポーネンツは数社の専業メーカーの選択になります。
自転車全体の革新に注ぎ込まれる技術力は数百点にもなる車との大きな違いです。
それでも革新無き商品やブランドが生き残れる市場は無いと言えます

販売戦略:効果的な販売チャネルの選定

これまでは生産と流通を握り最期の販売は常に販売店でした。
この流れの利点はありましたが現在はその販売店の多くは嵐の中にいます。
それは購入する際に店頭で比較しなくなっていること。
多くの販売店はそれを否定しますが確実に消費者はウエブサイトでの比較をしています。
購入する際に販売店でのプロセスを省略したい。
以前なら流通の流れに沿って川上からのビジネスが主流でしたが現在は川下からです。
一部ブランドでは直販体制(オンラインのみ)に絞っていますがこれにも大きな問題は解決されていません。
今おこなうべきこと。
オンラインとオフラインの販売戦略を統合し最適なチャネルを通じて「顧客体験」を向上させる方法を検討しなくてはいけない時代です

顧客エンゲージメントとロイヤリティの構築

エンゲージメント(engagement)とは。
よく結婚の時に「エンゲージリング」と言います。
これは婚約指輪を意味しますが今回は「顧客との約束」と解釈してください。
ブランドを高めるキーワードとしてこのエンゲージメントの重要性がますます高まっています。
以前なら「憧れのブランド」を購入することが消費者にとってのステータスでした。
現代には大きな変化があります。
つまりブランドには消費者とつながる信用と信頼が更に重要です。
顧客サービスの強化とロイヤリティプログラムの開発を通じて、長期的な顧客関係を築きます。
これらに関しては上記条件とは違いますが文字やスタッフプログラム等で向上は可能です

リスク管理と持続可能性

リスク管理は最期になりましたが「国民総クレーム時代」においてリスク管理としてとても大事な案件です。私たちの案件で取扱説明書の不備により訴訟にまで発展した事例もあります。
日本の自転車業界ではいわゆる「性善説」で流通と販売のコストが成立してきましたがいわゆる「東芝事件」以来クレームは珍しいものでは無くなりました。特にコロナ禍でその傾向は拍車がかかっています。
リスクヘッジの面からもリスク管理は必須なブランディングの一つです。
また今日自転車が期待されているのは環境への配慮と社会への責任(社会貢献を含む)を組み込んだ持続可能な戦略を立案しなければいけない時代です

まとめ

自転車ブランドが市場で成功するためには沢山の要素が整理されていなければなりません。
社内でそれを検証することは恐らく困難です。
なぜならば業務をおこないながら検証しさらには改良しつづけなければいけないからです。
それでもやるべきことはシンプルです。
明確なブランドアイデンティティの確立、効果的なマーケティング戦略、製品と販売戦略の統合を目指しながら日々の業務の中で長期的な顧客を作る為の戦略を実行するだけです。
私たちは常にブランドに寄り添う存在でありたいと思っています

ブランド戦略にお悩みであれば「外部からの見え方」で大きく方向転換も可能です。まずはブランドのアイデンティティしっかり創ることです