はじめに
先月から、LME(生涯モビリティ教育)の四つの学び場を書いてきた。 高齢者、子ども、働く大人、そして災害。 どの回でも大切にしてきたのは、移動の中で「判断する」ことだった。
止まる判断。 選びなおす判断。 日常の移動では、決められた道を守り、その中で正しく判断することが、命を守る。
では、日常の外ではどうだろう。
旅先では、迷っていい
旅先の道は、知らない道ばかりだ。 地図を見ても、どの角を曲がれば何があるのかはわからない。
けれど、そこで迷うことは失敗ではない。
少し遠回りした先で、思いがけない景色や店に出会う。 その偶然こそが、旅の記憶になる。
#061で、私たちは「知らない道に踏み出す好奇心」と書いた。 その好奇心がいちばん生きるのは、旅先の自転車だと思う。
歩くには遠く、車では速すぎる。 その中間の速度だからこそ、気になった場所で止まり、引き返し、寄り道ができる。
日常では「選びなおす力」が身を守り、旅先では「迷っていい自由」が楽しさになる。
自転車は、その両方を持っている乗り物だ。
なぜ、サイクルツーリズムは続かないのか
いま、日本各地で、自転車で地域をめぐる「サイクルツーリズム」に取り組む自治体が増えている。
国も、自転車で走る魅力的なルートを「ナショナルサイクルルート」として指定し、後押ししている。
一方で、こんな声も聞く。 コースは作った。イベントも開いた。 でも、翌年には人が来なくなった。
事例はそれぞれ違うが、外から見ていると、共通して気づくことがある。
一方で、こんな声も聞く。
コースは作った。イベントも開いた。
でも、翌年には人が来なくなった。
全ての事例は全く同じではないけど外側からみていると気付くことがある。
- 地元の理解が十分に得られていない
- 自分の自転車で来る愛好家は、走って通り過ぎるだけになりやすく、地元にお金が落ちにくい
- 自転車を降りて楽しめる仕組みや店がない(あっても、わかりにくい)
一度きりの盛り上がりで終わる地域と、毎年人が戻ってくる地域。
では、毎年人が戻ってくる地域は、何が違うのだろうか。
これから書いていくこと
BFLでは、次回から数回に分けて、「自走するサイクルツーリズム」について書いていく。
特定の地域の成功例を紹介するのではなく、どの地域でも使える考え方を、順を追って整理したい。
自治体の担当者が、手元に置いて使える教科書のようなものを目指している。
おわりに
迷っていい移動は、迷わせてくれる地域があって、はじめて成り立つ。
安心して迷える道、立ち寄りたくなる場所、また来たくなる理由。
それをどう作るかを、次回から一緒に考えていきたい。
